◆ウォッチ

時計にとって磁気は大敵!

普段着けている時計の時間が急に進むようになってしまったり遅れるようになってしまったり、ということはありませんか?

 

 

 

そのような症状は、時計に磁気が入ってしまっていることが原因であるケースが結構多いんですね。

 

 

 

我々の身の回りは磁気を発生するものであふれています。

 

 

 

カバンなどの留め具に使われているマグネットやパソコンやスマートフォンからは磁気が生じていて、普段の生活の中で知らず知らずのうちに磁気帯びしてしまっているんじゃないかなと考えています。

 

 

 

今回のブログでは、そんな時計にとって大敵である磁気について、身近にある発生源、磁気帯びさせないための対策などについて具体的にお話させていただきます。

 

 

 

 

 

 


磁気帯びするとどうなるか


 

 

 

◆機械式時計の場合

 

機械式時計のムーブメントはそのほとんどが金属でできているため磁気の影響を受けやすいんです。中でも磁気帯びによって大きな影響を受ける部分が時計の心臓である「テンプ」を構成するパーツの一つ【ひげゼンマイ】。

 

 

 

 

磁気_14(4)_600

 

→ 渦巻き状のパーツがひげゼンマイ

 

 

 

スチール線が渦巻き状の形をしている【ひげゼンマイ】が規則的な伸縮運動を繰り返すことで正確な時刻を刻むことが出来ます。つまり、ひげゼンマイは時計の精度をつかさどっています。そして、ひげゼンマイはわれわれの髪の毛ほど細く繊細故、とてもデリケートなパーツでもあるんですね。

 

 

 

この【ひげゼンマイ】が磁気帯びしてしまうと、ゼンマイ同士がひきあい、伸縮運動に支障が生じてしまいます。伸縮運動が正常でなくなると、極端に時間が進んだり遅れたりしてしまうのです。

 

 

 

 

◆クオーツ時計の場合

 

アナログ式クオーツ時計にはステップモーターという装置があり、その駆動部分である「ローター」には永久磁石が組み込まれています。例えるなら、N極、S極のある方位磁石のようなものです。

 

 

 

IC回路からの信号によりステップモーターのコイルに電流が流れると磁場が発生します。するとローター(方位磁石のようなもの)がその磁気により回転し、その動きが歯車に伝わって時計の針を動かしています。そのため外部からの強い磁気の影響を受けると、ローターの正常な回転が妨げられて精度に影響が出てしまったり一時的に止まったりしてしまいます。

 

 

 

その他、短針と長針が磁気帯すると針が重なる時間帯に針同士が引っ張り合うことで時刻が遅れてしまうこともあります。

 

 

 

この場合はメーカーにて修理が必要となりますのでクオーツ時計であっても磁気に対しては注意が必要です。

 

 

 

 


身の回りの磁気の発生源


 

 

 

では我々の身の回りで磁気を発生するものとしてどんなものがあるのか、またどれくらいの影響があるのか改めて見てみたいと思います。

 

 

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96,000 (A/m)    磁気ネックレス

 

 

 

 

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8,000  (A/m)      ノートパソコンのスピーカー部

 

 

 

 

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72,000 (A/m )   タブレットのスピーカーとカバーのマグネット

 

 

 

 

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22,400 (A/m)     携帯電話のスピーカー部

 

 

 

 

 

jiki_2021_4_2

 

16,000 (A/m)     スマートフォンのスピーカー部

 

 

 

 

 

10,400 (A/m)     交流式電気シェーバー

 

 

 

 

 

単位は磁界の強さを表すアンペア(A/m)です。

 

 

 

JIS(日本工業規格)規格で定められている

 

 

 

1種の耐磁時計が「直流磁界4,800A/mに耐えられる水準」

 

 

 

2種の耐磁時計が「直流磁界16,000A/mに耐えられる水準」

 

 

 

であることを考えると、これらの磁気発生源が上記のケースのように非耐磁時計と密着した状態になると磁気の影響を受けてしまう可能性がかなり高いことが分かります。

 

 

 

スピーカーに関しては内部に磁石が使われている構造になっているので当然強い磁気が出ているわけですね。

 

 

 

 

 


磁気帯び確認方法


 

 

 

時計が実際に磁気帯びをしているかを確認するには、簡易的な方法として方位磁石を使う方法があります。

 

 

 

時計を方位磁石に近づけて磁石の針がふれるようであれば磁気が入ってしまっている可能性が高いです。

 

 

 

実際にスマートフォンを方位磁石に近づけると針が勢いよく回転して強い磁気が出ているのを確認することができます。

 

 

 

磁気_14(6)_600

 

 

スマートフォンが10cm離れていると何も反応しないんですが…

 

 

磁気_14(5)_600

 

ほぼ密着状態に近づけると方位磁石の針が勢いよく引き寄せられます。

 

 

 

従って日頃の生活の中で机の上に置いてあるスマートフォンやカバー付きのタブレット端末の近くに腕時計を置いてしまったり、膝の上にバッグ(マグネットの留め具を使っているもの)を置いて座っている時に、手添えてしまっていることなどが原因じゃないかな?と考えています。

 

 

 

また上記の物以外で我々の身の回りものから磁気がでていそうなものを調査してみました。

 

 

 

20210512_jiki_14 (2)_1040

 

スマートウォッチの充電器

 

 

 

20210512_jiki_14 (4)_1040

 

電子タバコの充電ケース

 

 

 

 

20210512_jiki_14 (3)_1040

 

ドライヤー

 

 

 

20210512_jiki_14 (1)_1040

 

ワイヤレスイヤホンとケース(マグネット)

 

 

 

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音楽プレーヤーのスピーカー

 

 

 

 

20210512_jiki_14 (6)_1040

 

冷蔵庫の扉

 

 

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ハンドバックのマグネット式の金具

 

 

 

 

 

などは方位磁石の針が振れて磁気を発生していることが確認できました。

 

 

 

 

 

特に音楽プレーヤーのスピーカー、冷蔵庫の扉やハンドバックのマグネット金具は針が強く反応するため強めの磁気が出ていそうでした。

 

 

 

 

さらに意外だったのは、iphoneなどにもよく使うワイヤレスイヤホン。スマホと一緒にカバンへ、そして、その中に時計もいれて…なんてことしたらカバンの中は磁気帯び祭りってことになりますね。

 

 

 

ここで紹介させていただいたもの以外にも、日常生活で様々な身近なもに磁気は潜んでいるものあるとおもいます。

 

 

 

 

 

 


「磁気帯び」☞「磁気抜き」!!


 

 

 

では、もしご自身の時計が磁気を帯びてしまったら…ご心配されている方へ。

 

 

 

 

ご安心ください!!

 

 

 

 

磁気抜き器】を使うことによって短時間で磁気を抜くことができます。当店でも常時備えていますので店頭にお持ちいただければ脱磁させていただいております。

 

 

 

磁気_14 (6)_600

 

 

磁気帯びしている時計を台の上に置き処置をすることで磁気を抜くことができます。

 

 

 

 

磁気抜きをすると大抵は正常な状態に戻ります。

 

 

 

が、稀に強力な磁気が入っている場合、完全に抜くことが出来ないこともあります。その場合はメーカーでの磁気抜き、またはオーバーホールをしていただければ正常な状態にもどすことが出来ます。

 

 

 

 

 

 


磁気帯びさせないためには


 

 

 

それでは大切な腕時計を磁気帯びさせないためにはどんな事に気をつけたらいいのでしょうか。

 

 

 

それは「磁気を発生するものに近づけないこと」に尽きます。

 

 

 

身の回りの磁気の発生源でも紹介させていただいたバッグの留め具の場合、密着した状態では72,000A/mですが5cm離れると0A/mとなります。

 

 

 

またスマートフォンの場合、密着状態では16,000A/mですが5cm離れると400A/m、さらに10cm離れると0A/mとなります。

 

 

 

したがって、日常生活で身近なもので磁気を帯びているものからは、おおよそ5〜10cmぐらい離すと磁界からはほとんど外れますので、密着した状態でなければ磁気の影響はほぼ受けなくなります。

 

 

 

時計をつけている側の手でスマートフォンを扱う場合、スピーカー部からは5センチ以上は離れるはずですので、ひとまず安心っていうとこでしょう。

 

 

 

 

 


磁気に強い時計のご紹介


 

 

 

時計を扱う際は身の回りの「磁気」に気をつけて使う必要があることはお分かりいただけたと思います。

 

 

 

そこで、「磁気」を気にせずに使える心強い時計が存在します。

 

 

 

ここではそんな磁気の影響に耐えられる性能を備えた耐磁時計をご紹介いたしましょう。

 

 

オメガ

シーマスター ダイバー300

ref:210.30.42.20.06.001

 

 

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品名:シーマスターDIVER 300M コーアクシャル マスタークロノメーター/品番:210.30.42.20.06.001/ムーブメント:自動巻キャリバー8800/ケース:ステンレススチール/ケースサイズ:42ミリ/防水:20気圧/ブレス:ステンレススチール/税込価格:616,000円

HASSINオンラインサイトで購入
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近年、ムーブメントの摩耗を大幅に軽減させた「コーアクシャル機構」の開発など目覚ましい技術力で時計業界に革新をもたらしてきた世界ブランドオメガ

 

 

 

そんなオメガの耐磁モデルと言えば、スイス連邦計量・認定局 (METAS)の厳格なテストを受けマスタークロノメーター認定を受けたシーマスターDIVER300Mシリーズ。

 

 

 

ダークグレーのダイヤルにブルーのベゼルという渋いルックスのモデル。

 

 

 

その耐磁性能はなんと業界内で最高水準の15,000ガウス (1,200,000A/m)以上

 

 

 

病院で使われているMRIがちょうど15,000ガウスぐらいの磁場を発生していると言われているのでそれにも耐えられてしまうレベルなんです!

 

 

 

磁気の影響を受けやすいひげゼンマイを、磁気帯びをしないシリコン製にすること、また、ムーブメントを構成するパーツのほとんどを磁気帯びしない素材で構成することにより磁気帯び問題を根本から解決してしまったんです。

 

 

 

そのためムーブメントをインナーケースや耐磁板などで覆う必要がなく、裏側をスケルトンにすることが可能となり、美しい装飾模様が施されたムーブメントの様子も楽しむことができます。

 

 

 

磁石そのものに密着した状態であっても日差0〜5秒という正確な時を刻み続け、日常生活で発生している磁気は全く気にせずに着用いただけるそのハイスペックぶりはただただ驚くばかりですね。

 

 

 

このモデル以外にも現行シーマスターコレクションはほぼマスタークロノメーターのムーブメントを搭載しており、新しいムーブメントを搭載したスピードマスタープロフェッショナルのモデルも同様の仕様になっています。

 

 

 

 

 

 

グランドセイコー

スポーツコレクション

ref:SBGX341

 

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品名:スポーツコレクション/品番:SBGX341/ムーブメント:クオーツ9F61/ケース:ステンレススチール/ケースサイズ:40ミリ/防水:20気圧/ブレス:ステンレススチール/税込価格:407,000円

WEBショッピングクレジットで購入

 

 

 

日本が世界に誇る国産最高峰の時計ブランド グランドセイコー。実用性を追求してきたGSらしくほとんどのモデルがJIS規格1種の耐磁性を備えている中で、耐磁性能に特化したつくりのモデルがこちらになります。

 

 

 

その耐磁性能は40,000A/m (アンペア)

 

 

 

JIS規格2種の耐磁性能(直流磁界16000A/mに耐えられる水準)よりもさらに高い水準となっていますね。

 

 

 

 ムーブメントを上下から純鉄製の耐磁板で覆うことで外部からの磁気をシャットアウトしてその強力な耐磁性能を実現しています。

 

 

 

このためスマートフォンなど比較的強い磁気を発生する製品と密着した状態になったとしても概ね性能を維持してくれるので、とても心強いですね。

 

 

 

ただし、磁気ネックレスやバッグの留め金など永久磁石が使用されているものの場合は影響を受けてしまう可能性が高いのでご注意を。

 

 

 


最後に…


 

 

 

いかがでしたか?

 

 

 

我々が普段愛用している時計がいかに磁気に影響を受けやすいか、また磁気を発生する製品が我々の身近に溢れているか理解いただけましたでしょうか。

 

 

 

今回の記事を参考に腕時計の磁気帯びの可能性を意識するだけでもだいぶリスクは減ると思いますし、新たな時計を購入する際に「耐磁性能」を持つものを選択するというのも一つの方法になるかと思います。

 

 

 

今回のブログが皆様にとって快適な時計ライフの一助けになれば嬉しいです。

 

 

 

 

 

 

 

投稿者:加藤
初めてご来店されたお客様にもリラックスしてくつろいでいただけるような接客を心がけています。趣味は海外旅行、スポーツ観戦、ライブ鑑賞など出かけることが大好きです。
[保有資格] ジュエリーコーディネーター/CWCウォッチコーディネーター

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